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島田 亜佐子; 塚原 剛彦*; 野村 雅夫*; Kim, M. S.*; 島田 太郎; 武田 聖司; 山口 徹治
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(11), p.1184 - 1194, 2021/11
被引用回数:5 パーセンタイル:64.12(Nuclear Science & Technology)土壌中の主要元素や質量分析における妨害元素を含む多元素混合溶液を用いて土壌中のCsを分離精製するためのCalix[4]arene-bis(t-octylbenzo-crown-6)(BOBCalixC6)の1-オクタノール溶液による溶媒抽出法を最適化した。一部のKやMo, Sn, SbがCsと共に有機相に抽出されたが、0.5M硝酸により逆抽出された。一方、抽出されたCsは0.5M硝酸ではほとんど逆抽出されないため、分離が改善された。抽出されたCsの回収は温度を323Kまで上げ、有機相を3倍量の1-ドデカノールで希釈することで達成された。開発した手法を40gの土壌を溶解した硝酸溶液に対して適用し、分離精製・濃縮後の溶液中には土壌の主要元素が合計で10g/ml、妨害元素はng/ml以下しか含まれないことを確認した。さらに、この手法を用いて福島第一原子力発電所(FDNPS)周辺で採取された土壌中のCsを分離し、Cs/Cs同位体比を表面電離型質量分析計(TIMS)とトリプル四重極質量分析計(ICP-QQQ)により分析した。TIMSにより1桁ほど高い精度が得られたが、アバンダンス感度はICP-QQQの方が高かった。FDNPSの北西側の試料に対してわずかに高いCs/Cs同位体比が観測されたが、それ以外の地点では誤差の範囲で同じ同位体比が得られた。この結果は報告されているCs/Csの放射能比の分布と一致しており、Cs/Cs同位体比が放射性セシウムの起源を特定できる可能性を示している。
島田 太郎; 鍋倉 修英*; 武田 聖司
no journal, ,
廃止措置終了では解放後の跡地利用などにより公衆の被ばく線量が基準以下であることを確認する必要がある。被ばく評価の前提となる敷地内の放射能分布の把握のために、空間的な相関を考慮できる地球統計学的手法クリギングにより、限定された測定点における濃度データから、敷地内の放射能分布を推定するプログラムESRADの開発を進めている。本研究では、放射能分布推定の精度向上のため、試料採取などによる代表点濃度測定に加えて、事前サーベイによる敷地全体の線量率分布を放射能濃度分布推定の補足的情報として活用することを考慮し、外生変数を取り入れたクリギングを行えるようにESRADを改良した。また、仮想的な放射能濃度分布を設定し、その分布に基づいて計算した線量率分布を外生変数として、外生ドリフトクリギングを適用したところ、限定的に測定された濃度データに基づく通常クリギングで得られる推定分布よりも推定結果が改善できる見込みが得られた。
島田 太郎; 鍋倉 修英*; 三輪 一爾; 武田 聖司
no journal, ,
原子力施設の廃止措置終了時には、敷地内の汚染状況を把握しつつ、解放後の跡地利用等による公衆の被ばく線量が基準線量以下であることを確認する必要がある。そこで、原子力機構では汚染調査から放射能分布を評価した結果に基づき被ばく線量評価を行う一連の方法論の開発を進めている。本報では、敷地内全域の線量率測定など汚染に対する事前サーベイで得られる線量率分布の結果と試料採取測定により得られる限定的な点数の放射能濃度データとそれらの測定誤差から、表層土壌における放射能汚染分布を地球統計学的手法により推定する方法について検討した。その結果、測定誤差を考慮する外生ドリフトクリギングによって、評価された放射能濃度分布には大きな影響がない一方、評価値に対する推定分散が増加して、評価の不確かさを適切に考慮できる見通しが得られた。
島田 亜佐子; 塚原 剛彦*; 野村 雅夫*; Kim, M. S.*; 島田 太郎; 武田 聖司; 山口 徹治
no journal, ,
廃止措置終了確認において、福島第一原子力発電所(1F)事故由来の放射性Csはバックグラウンドとして取り扱うことが可能であるが、そのためには放射性Csの起源特定が必要となる。そこで、Cs/Cs同位体比を用いた起源特定の可能性について検討を行った。高濃度土壌試料を分析して求めた1F起源のCs/Cs同位体比は0.36280.0005であった。これに対し、廃止措置施設起源の同位体比が0.050.2大きかった場合に、0.1Bq/gの廃止措置施設起源のCs濃度の標準偏差を0.01Bq/g以下とするには、現状の測定器では低Cs濃度で同位体比測定精度が落ちるため難しいことが示された。一方で、Cs濃度が0.5Bq/g以下の土壌に対しても標準偏差が0.0005以下となるようCs/Cs同位体比を測定できれば、起源の識別が可能となることが示唆された。
島田 太郎; 鍋倉 修英*; 三輪 一爾; 武田 聖司
no journal, ,
原子力施設の廃止措置終了時には、敷地内の汚染状況を把握しつつ、解放後の跡地利用等による公衆の被ばく線量が基準線量以下であることを確認する必要がある。そこで、原子力機構では汚染調査から放射能分布を評価した結果に基づき被ばく線量評価を行う一連の方法論の開発を進めている。本報では、前報で有効性が確認された事前サーベイとその結果から選定した代表点測定結果を利用する外生ドリフトクリギング手法に関して、評価された放射能分布の妥当性を確認する交差検証法の適用を検討した。その結果平均絶対誤差を指標とするのが適切であると考えられた。また、被ばく評価の入力として安全側の設定となるようにクリギング評価値の推定分散を利用した95%片側信頼区間上限値を採用する方法を提案する。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
廃止措置終了確認後に敷地内に残存した表層土壌汚染は、降雨等によりその放射能分布が変化し窪地などへ核種が集中する可能性がある。本研究では、サイト解放後の公衆の被ばく線量を評価する際、放射能分布の変化を考慮するため、既存の土壌侵食解析コードのWEPPの解析結果をもとに、地表面流と土砂移動による核種移行を評価する手法の開発を進めている。本報では、土砂移動による核種移行モデルを整備して、仮想的な降雨条件で地表面流と土砂移動による核種移行評価を行ったところ、降雨イベント後に敷地内の窪地に核種が集中する結果が得られた。また、地表を移行した核種が海洋に流入することで、地下水移行経路よりも短期間で核種が海洋へ移行することも示された。よって、初期の放射能分布によっては、サイト解放後の地表面流と土砂移動による核種移行により、放射能分布の変化を考えない場合よりも、表層汚染や海洋中核種からの被ばく線量が大きくなる場合があることが示された。
島田 太郎; 三輪 一爾; 佐々木 利久*; 武田 聖司
no journal, ,
原子力施設の廃止措置終了確認時に、敷地内の放射能分布を把握し、解放後の跡地利用等による公衆の被ばく線量が基準線量以下であることを確認する一連の方法論の開発を進めている。前報の放射能分布評価手法の開発では、事前サーベイと代表点測定を組み合わせた外生ドリフトクリギングによる方法により仮想的な放射能分布を再現可能であることが解析的に確認されたが、実際の適用にあたっては代表点測定が十分であるかを判断した上で、評価した放射能分布の妥当性を確認する方法について課題が残された。そのため、leave-one-out交差検証において、代表点の測定平均値と各点の測定値との平均絶対誤差MAEをめやすとして、このめやすより交差検証で得られたMAEが小さければ妥当と判断する方法を整備した。いくつかの仮想的なデータに対して上記方法を適用し、分布の妥当性判断ができることを確認した。
島田 亜佐子; 野村 雅夫*; 塚原 剛彦*; 武田 聖司
no journal, ,
環境試料に対してCs/Cs放射能比を用いた起源特定が広く行われているが、Csの半減期は2年であり数十年後には測定が困難であるため、将来的には半減期が133万年のCsを利用したCs/Cs同位体比による起源特定がより有効になると考えられる。Cs/Cs同位体比測定のためにはCsを土壌中から分離・精製する必要があるが、1BqのCsは312.5fgであり、質量分析において十分定量可能なCsを得るには多量の土壌を処理する必要がある。そこで、これまでに開発してきたBOBCalixC6によるCs分離法の抽出時間や使用回数を最適化し、東海村で採取した1Bq/g程度の土壌試料溶解液からのCsの分離・精製に適用し、Cs/Cs同位体比測定を実施した。